前穂高岳北尾根

2005.9.17〜18

3090m

徳沢〜奥又白池〜5・6のコル〜3・4のコル〜前穂岳岳〜吊尾根〜岳沢

憧れの前穂北尾根に挑戦できるなんて夢のようです。
自分に行けるだろうかとは思ったけれど、不安よりも期待の方が大きくてワクワクしています。。
ただザックの中身は軽量に心がけました。余分な物は持たない・・・
だけど一応女なので結構必要なものもあるんだよね。たぶんそれも余計なものなんだろうけど(^^ゞ

今日はイイお天気、焼岳が綺麗に見えます。そして明神もカッコイイ \(^o^)/ 
下りは明神主稜の計画です♪ (最初はその予定でした)

1日目は上高地から奥又白までの予定です。時間的には余裕があるので明神でザックを下ろし付近を
散策して時間調整しました。写真を撮ったり明神橋を渡り穂高神社奥社にお参りしました。
1時間ほどのんびりと過ごし、徳沢へ向かいます。
AM10:45 徳沢を出発  ガスの切れ間から明神岳が見え感激しました\(^o^)/
新村橋を渡り、梓川沿いに車道を歩きます。

そこからしばらくで中畠新道の取り付きです。ここはパノラマ新道との分岐でもあります。
大きな石には赤ペンキで「オクマタ」と書かれています。正面には水の涸れた「松高ルンゼ」が見えます。
その方向に進むと右側が登山道となります。これからが激登りのはじまり(^_^;)

潅木の中の急斜面を我慢強く登るとすこし開けたガレ場にでます。そこで少し休憩(>_<)
この繰り返しはとてつもなく長く感じます、これが登山道かと一瞬勘違いしましたが。よく考えてみると
実際にここは一般登山道ではないので要注意。甘くはありません(^_^;) 
それなりに踏み跡もあるし、潅木にぶら下がった赤布や目印など見失わないように慎重に歩きます。
右手の奥に見える白っぽいのが常念岳、ずいぶん高いところまで来ました。
上部霧がかかっているのがX・Yのコル。北尾根への取り付き、明日はあそこから取り付く (*^^)v

少し迷いながらも、X・Yのコルとの分岐と思われるところから奥又白方向へ。少し判りづらい所です。
先にM氏が行って確認してくれました、いつもながら感謝m(__)m
するといきなり奥又白池が現れ、ホッとしました。見上げた正面には前穂東壁が立ちはだかっている。
ここがあの奥又白・・・クライマー達がここから岩壁を目指す、そのベースとなる場所なのです。
そう考えると、ここまで来たんだという喜びはなく、ここから始まるんだという感じ・・
自分でも不思議なくらい感動もなく、冷静でした。

すでにテントが2〜3張り、人の声もします。私達も場所を探しながら池の奥に行き、テントを設営。
時間も早いので池の周りを散策したり、水場に降りて水汲みをしたり、ゆったりと過ごしました。
となりに大きなテントが2張り、同じグループなのか夜まで賑やかでした。
水場の上部で用を足そうとしている人もいてM氏が注意。山では重要なこと、気をつけなければ・・・

夜明け・富士山

AM3:00 起床 朝食を食べ出発準備をしてテントを撤収。
AM4:00 奥又白池を出発
ヘッドランプを点けて、昨日来た道を分岐まで戻ります。その先は奥又白谷をトラバースするように慎重
に進みます。暗闇で目標が見えないのに、確実にルートを見極めて前進していくM氏。その後を黙々と
付いていくyuさんと私。ガレ場のトラバースはかなり緊張、落石に注意しながら前進します。
よく見ると向こう側に小さなケルンや目印があるが、それを見つけるのも業というか地形を見るってこと
なんだろうな・・緊張の連続で、さらにきわどい登りと下りが待っています。あちらこちらで浮き石も多くて
コルの真下に出るまでは気が抜けません。凄い所に来たもんだ・・と自分にも呆れてしまいます。
稜線に出ると少し踏み後が確認できました。振り返ると奥又白池とテントが見えます。

AM5:55 X・Yのコル  コルでテン泊した人や涸沢から入っているパーティがすでに数組先行して
いるようです。X峰にも数名が取り付いているのが見えます。コルにも1パーティ休憩していました。
私達もここで休憩します。そしてyuさんも私も今日はとても無口でした (^_^;)

X峰から北穂と槍 (*^^)v

X峰の登りは見た目より安定していました、穂高方面も見えて高度感はあります。
X峰から見たW峰はなかなか立派に見えました、どうやって登ろうかと思うくらいですが(^_^;)
これも意外にすんなりと登れます。ただ浮き石が多いので常に緊張します。
W峰は数年前に地震で崩落した跡があるらしく、ルートファインディングが難しいということでした。

W峰の頭から稜線を涸沢側に回りこむといよいよ核心のV峰です。3パーティがすでに取り付いていて
コルにも順番待ちの2パーティがいました。私達もザックを下ろして登攀の準備をしました。少し時間が
かかりそうでしたが、準備が整ったのでザックを背負い岩にもたれて見ていました。
他のパーティを見ていると、みんなガチャガチャをたくさん付けていて、クライミングシューズに履き替え
ています、そしてザックが小さいのには驚きました・・・ほとんどが涸沢をベースに来ているのでしょう。
私達は普通の登山靴と大きな荷物です、でもその時は何も考えていませんでした(^_^;)

この時、ルンゼ状の下部で単独の男性、その左横に2名の男女、取り付き付近に男性3名を確認。
しばらく見ていたのですが、ルンゼにいる単独男性がかなり手間取っているように思えました。
その時、事故は起こりました。もの凄い轟音と同時にルンゼにいた単独男性が大きな岩と共に落下。
「ラークッ!ラークッ」という声が響き、無数の落石が落ちてきます。瞬間、私は背を向けザックで自分の
身をかばうことしかできませんでした。
落石がおさまり、他に怪我人がいないか確認する声。滑落した人は・・・私がとっさに立ち上がろうとする
と「ここにいろ!」と・・・M氏や何人が彼が落下した付近に向かったようです。
しばらくして、M氏が戻ってきて「だめだ」と。そう判断するしかない状況だったのでしょう・・・
すぐにM氏が携帯で救助要請。同時にルンゼ付近にいる人も携帯で連絡しているようでした。
それからずいぶん長い時間待ったような気がしますが、ヘリはなかなか到着しません。
登攀途中のパーティが動き始めました。その後、後続のパーティに上がってくるようにとのこと。
真横で事故を目撃したという2名が「自分達がヘリが到着するまで残りますから」と言い、他のパーティを
先に行かせてくれています。申し訳ないが私達も先に行かせて頂くことになりました m(__)m

他の誰もが、それ以前と同じように坦々と登攀をこなしています、それを横目で見ながら不思議なくらい
冷静な自分がそこにいました。そして胸に手をあてて祈り出発・・・

これが私のアルパインデビュー。そしてここからが核心。
いよいよV峰の取り付へ。1ピッチ目はホールド・スタンス共にしっかりしてます。初心者の私のために
ピッチを短く取ってくれたので何とか登れました。2ピッチ目は小さなテラスから、凹角を登ります。
そこから見上げるV峰は、ほぼ垂直と思われる岩壁。
「本当にこれが入門コース?自分は場違いなところに来ているのではないか・・・」
そんなことをチラッと思ったりしました。でもここまで来たのだから行くしかない、頑張るんだと気持ちを
切り替えるのには、それほど時間はかかりませんでした。

3ピッチ目チムニーは登らず左側の回り込みます。遥か下の方、涸沢ヒュッテと涸沢小屋が見えました。
途中少し待ち時間があり、それが休憩になるので良かったです(^_^;) 
4ピッチ目はそれほど怖くないが高度感があり緊張します。イイお天気ですが槍の穂先にだけ雲がかかる
ようで切れ間にてっぺんが見えると嬉しかった♪
5ピッチ目はロープはつけずに最後のチムニーを抜けると、V峰終了。

U峰手前で少し休憩、今日登ってきたコースを見ると感動でした\(^o^)/
U峰は心配するほどのこともなく難なく通り過ぎました。最後は懸垂下降というのが多いみたいだけど
涸沢側に少し下がってあと、最後の一歩が空中?と思うようなところをM氏の手を借りて通りました。
よく見ると岩が最近剥がれたような岩肌が見えました。
あとは頂上へ向かうのみ!ギャラリーがいっぱいでなかなかイイ感じ(^_^;)
AM10:20 前穂高岳山頂!がっちりと握手♪本当にお疲れ様でした。


途中で2回ほどヘリが旋回しているのが見えました。でも旋回しただけで去っていきました。
それから、ちょうど私達が山頂に着いた頃、もう一度ヘリが事故現場を旋回していました。
私は賑やかな山頂からV峰に向かって手を合わせました。どうか安らかに・・・

最初の予定では明神主稜を降りる計画でした。でもあの事故のこともあり、時間もかかっているので
重太郎新道から岳沢に降りることにしました。
岳沢ヒュッテで休憩したとき、やっと今回の山行の成功を実感しました。感謝 m(__)m