富士山
2006.5.3
3776m

私は今まで「富士」という山に対して全く興味がなかった。他の山から見て美しいと思う・・・その程度だった。
でもいつしか「残雪期に登ってみたい」という夢を持つようになった。そしてとうとう緊張の朝を迎えた (>_<)

富士スバルラインには深夜2時ごろ到着。ゲートが開くのが3時、それまで1時間ほど仮眠する。5合目駐車場で朝食を食べゆっくりと準備をする。気がつくと周りはご来光を見に来た人でいっぱい。
林道を歩いていると雲海の向こうから日が昇った,(5:17)綺麗〜(*^_^*) 登山口からアイゼンを付け出発(5:33)しばらくは朝の景色を楽しみながらのんびりと歩く。影になっている所では雪は完全に凍っていてアイゼンの歯が立たない。6合目を過ぎると見た目より急登となり、睡眠不足の身には少し辛い(>_<) 数名の登山者、スキーヤーとボーダー各1名と前後しながら歩く。皆さん相当辛そう・・私も必死で頑張る。

最初から山頂付近が見えているのにその距離はなかなか縮まらない。延々と続く急斜面を喘ぎながら登る、やっと7合目に到着(7:00)小屋は雪に埋もれている、ここで暖かい飲み物を飲んで休憩。
穏やかな天気に思われたが風が少し出てきた。右を見ると本日滑走予定の斜面が目に入る。もう少し気温が上がらないとこの斜面を滑るなんて無理だな・・

7合目から8合目がとにかく長く感じる、斜度も増すばかり。横一列に石が並べてあるがこれは小屋の屋根?!雪は一向に緩む気配もなくガチガチ、正確にアイゼンを蹴り込みながら九十九折に登る(>_<)
3000mを少し過ぎたあたりから気分が悪くなってきた、頭も重い。本8合目で休憩(10:00)振り返り覗き込むと他の登山者の人たちが耐えながら登ってくるのが見える、頑張れ〜!!

何度も弱音を言いたくなるが堪えながら必死で前に進む。前方に一人かなり高齢の方が登っている。
それが凄い健脚で距離はなかなか縮まらない。終始アイゼンワークに全神経を集中する・・滑れば一気に下まで落ちてしまうだろう、風もある、慎重に力強く。しかし呼吸も苦しくなり集中できていないのが自分でもわかる。これが高山病の前兆か?!鳥居が見えるがなかなか近くならない。あと少し!
浅間大社奥宮の奥を進むと富士山の噴火口が口を開けていた(11:50)ちょっと感動でウルウル (^^ゞ ここで昼食にする、スープパスタは何とか押し込むが食欲がない・・ドリップコーヒーが美味しかった。食事のあとザックと板をデポしてお鉢巡りをすることにする、剣ヶ峯は向こう側、近いようで遠い。

真っ青な空と真っ白な雪・・背中が軽いので最後の上りも苦にならない。建物には巨大なえびの尻尾が。
山頂(13:15)全てのものが見渡せる、日本一の山なんだなぁ〜感動というより不思議な感覚になる。
眠いのか空気が薄いせいか・・変な感じ。

岩の下をトラバースしながら火口を一周する、ここでも足を滑らせたら火口まで落ちそう・・・
雪面はもちろんガチガチのアイスバーン、緊張する。それを過ぎると雪の原、どこも広くて山頂とは
思えない。荷物をデポした所に戻り少し休憩、この空の下でお昼寝でもしたいくらいだ、でもまだ下りが
待っている。一旦スキーを履いて下りようとしたが雪はガチガチのまま緩む気配はない。風もきつい。
今日はスキーで下りることは危険という判断で滑る予定だった斜面を下ることにする。これから山頂
を目指すのか、スキーヤーとボーダーにすれ違う。時間が遅すぎはしないか?

吉田大沢というのだろうか・・下まで一気に滑り落ちる感じなのだが、歩いて下りるととてつもなく長い。何度も泣きそうになる、立ったまま休むしかない。M氏が差し出してくれる暖かいお茶が美味しい。8合目付近をヘリが何度も旋回しているのが見えた(後に滑落死亡事故があったことを知る)
8合目を過ぎたあたりでyuさんの声で振り向くとかなり上から人が落ちてくる・・斜面は冷たい風で凍り加速されて止らない。M氏が走ってその人を止めた。血まみれで気を失っていると言う。時間を置いてストックや板、ザックの中身が落ちてくる。携帯で連絡、ヘリを待つ。気温が下がり斜面が凍っていくのが手に取るようにわかる、上を見るが連れのボーダーの姿はない。これ以上時間がかかると危険だと私とyuさんに先に下りろとM氏。心配だが自分に自信がないのでそれに従う。6合目付近でヘリが旋回しているのが見えた・・ホッとする。yuさんがくれたチョコを頬張ると何故かジーンとした。林道でM氏が追いかけてきた。その後彼は意識を取り戻し救出されたとの事。幸いにも軽症だったが数百メートルは落ちているはずだ、助かったのは奇跡的だと思う。あとで連れのボーダーの板だけが滑り落ちてきたそうだが、彼も無事に下山したのだろう。とにかく助かってよかった・・

今日は天気にも恵まれたが午後からの風と気温が上がらなかったためにスキーはお預けとなったが
アイゼンワークの特訓とボッカ練習ができた貴重な一日となった。富士は偉大でした・・